米作り日誌/2017年7月31日
雄町
今年も雄町作ってます。
今年は思い切って栽培する田んぼを変えてみました。
理由は
・耕盤(耕す土のさらに下にある硬い層)が凸凹なところがあり、それが原因で生育にムラが出ている気がするため
・粘土質なうちの田んぼの中でも水はけが悪い方で、根にストレスを与えている気がするため
・不作の時に備え、もう少しだけ栽培面積を増やしたいため
土づくりというのは、今年何かしたから来年すぐによくなるというものではなく、ある程度継続していくことで効果が出てきます。
これまで土づくりを積極的に行ってきて、昨年は初めて雄町で1等米が出来たので、それを変えるのは思い切りが必要でしたが、1等以上を目指すために、より条件のよい田んぼで一からスタートすることにしました。
田植は6月16日。
植えてから12日後の雄町。
今年は田植え前に光合成細菌と呼ばれる微生物を田んぼにまいてやりました。
昨年のイナワラが分解しきれていなく、ワラを微生物が分解する際に出るガスで根を痛めてしまうかもしれなかったので、その応急処置として初めてまいてみました。
大雑把に説明すると、有害なガスを出す微生物よりも無害な光合成細菌(むしろ有益か?)に田んぼを占拠してもらいイネの根へのダメージを減そうというイメージです。
効果はきちんと調べていませんが、ガスわきは抑えられた印象です。
うまく伝わる自信はありませんが、株が開いてます。
うちで植えている「コシヒカリ」、「ヒノヒカリ」と比べて格段に開いています。
こうなると株の中心付近まで光が届くのでベリーグッドです。
栽培条件もある程度関係あると思いますが、やはり品種の特性が一番大きいと思います。
田と畔の間に大きな溝を掘ってます。
この溝切りという作業は毎年大変ですが、これをすることで水の通り道ができ、水を入れたり出したりする管理をきめ細かくすることができます。
あとは写真をよく見ると右奥にポールが立ってます。
今年、メーカーの方と共同でケイ酸カリという肥料の効果を試験してます。
ポールはその目印に立ててます。
ケイ酸カリはよく知られた肥料ですが、それって本当に効果あるの?って疑問に思っていました。
効果としては、ケイ酸により葉や茎を強くすることで病害虫に強くなったり、根張りがよくなることで登熟がよくなったり、水を吸い上げる力が強くなることで高温障害に強くなったりするとのこと。
でもケイ酸ならそれをたくさん含む籾殻や籾殻燻炭を入れてしまえばいいような気もするし、わざわざお金をかけてまく必要があるのか悩んでました。
肥料っていうのはこれをまくとこうなっていいですよ!っていう甘いうたい文句がたくさん書かれていて、つい使いたくなったり、使うとそれで満足してしまいがちですが、田んぼの土の性質や気候、イネの品種など色んな条件が違う中で、本当に自分の田んぼでどれだけの効果があるのか、それだけのコストをかける意味はあるのか、考えれば考えるほど本当に悩みます。
例え肥料を使ったとしても、その効果を調べることは簡単ではありません。
そんな中、メーカーの方から今回の試験の話をいただいて、これはいい機会だと思い、データをとってもらうことにしました。
昔ながらの品種の雄町と、今風な品種のヒノヒカリで試してます。
ちなみに雄町の肥料は、自家製の有機肥料を使ってマス。
米ぬか、菜種油粕、カニ殻、酒粕、麹菌、ミネラル入り化学肥料、これらを2工程に分けて数か月発酵させて肥料を作ります。
田植より前にこれらをまき、それをベースとして、あとは穂が出る前の一番栄養が必要な時期に化学肥料を少し入れてやります。
今回のケイ酸カリは中間追肥として使いました。
ゆっくりとだんだん効いてくる有機肥料と、ある程度即効性がある化学肥料とをうまく使い分けることで、よりイネの生長に寄り添った管理ができるのではと考えています。