米が出来るまで(概略編)
毎日食べている米
その米はどうやってできているのでしょうか?
ここでは我が家の米作りをもとに概略を説明します。
育苗
米も他の植物と同じように、種をまいて育てます。
ただし少し違うのは、種をそのまま土にまかないことです。
その前にいろいろ処理をしてやります。
米の種は「籾(もみ)」と呼ばれるものです。
玄米が殻に包まれた状態のものを指しています。
基本的には前年採れた籾を種として使います。
まずは籾の選抜と消毒をします。
続いて常温の水に一定期間漬けてから、今度は30℃くらいの水に漬けます。
そうすることで、籾から一斉に芽が出始めます。
ほんの少しだけ芽が出た状態で引き上げ、乾かします。
これで種まき用の「種」の完成です。
この種は育苗箱と言われる長方形の小さな箱にまきます。
育苗箱にあらかじめ土を入れておき、水で湿らせてから種をまき、その上に土をかぶせると、育苗箱の完成です。
ここからは育苗と呼ばれる作業に入ります。
読んで字のごとく、苗を育てる作業です。
育苗方法はいろいろありますが、うちでは育苗箱を畑にずらっと並べて、それをビニールのようなもので覆い、小さなトンネル状のハウスを作る方法でしています。
このトンネルは保温のために行います。
トンネル内の温度や湿度を調整し、水をやったり、トンネルの覆いを取ったりと、なんやかんやして気を揉んでいると、20~25日くらいで苗が完成します。
昔から「苗半作」と言われており、苗作りが米作りの重要なポイントとなっています。
田植え
一大イベントです。
田植え機を使って田植えをします…が、
重要なのは田植え前に行う、田の下準備です。
それは「耕うん」と「代かき(しろかき)」と呼ばれる作業です。
耕うんは、田を耕すことです。
この前に堆肥や化学肥料を入れる場合があります。
続いて代かきです。
耕した田に水を入れ、さらに耕します。
これにより大きな塊だった土を細かく粉砕し、田植えに適した状態にします。
この時に、いかに平らに出来るかが腕の見せ所です。
これで下準備完了です。
田の水を調整したら、田植え機でじゃんじゃんバリバリ苗を植えていきます。
うちではこの時に、肥料と除草剤も同時にまいています。
田植え後は田に水を張り、これで田植え終了です。
水の管理
田植え後は専ら水の管理です。
「水稲」の字のごとく、米作りには水がとても大切です。
水は、田の温度調整、雑草の抑制、無機成分の運搬、肥料の吸収、分げつなどの生育制御、登熟などと深く関わりがあるため、その管理がとても重要です。
いろいろ書きましたが、とにかく水が大切です。
ちなみに「分げつ」というのは一本の茎から、新しい茎が出てくる性質のことです。
苗を植えた直後は見た目が寂しい感じですが、日が経つにつれて分げつが盛んになり、茎の数が増えていき、気付けばワサワサした状態になっています。
この分げつをどうとるかが、栽培技術の重要なポイントになっています。
維持管理
水の管理の他には、田の維持管理も行っています。
主な作業は畦の草刈りです。
草との戦いとはよく言ったもので、この前刈ったかと思えばすぐに伸び、これぞまさしくイタチゴッコです。
この作業に多大な労力を費やしています。
除草剤を使うと楽なのでしょうが、その代わりに畦がボロボロになってしまうため、やはり草刈り機による草刈りが一番です。
草は憎き相手ではありますが、その根によって畦の形状が保たれているので、感謝もしなくてはいけません。
しかし、草を刈って数日後に、勢いよく伸び始めた草を見るとショックを受けます。
草さえ伸びなければ…
はかない夢です。
このように畦の草は草刈り機で刈りますが、田の中に生えた草は草刈り機では刈れません。
うちでは田植え時に除草剤をまき、ある程度草が生えない状態にします。
その後はひたすら手で草を取ります。
この作業は地味ですが、しんどい作業です。
膝が大爆笑です。
また、イノシシの侵入防止のための電気柵を設けたり、崩れた畦を直したりもします。
時期になるとイネに農薬を使用します。
使用量は必要最低限に抑えています。
農薬自体は、用法・容量をしっかりと守ればリスクの低いものだと思っていますが、それでも減らす努力はするべきだと考えています。
大体はこんな感じですが、この他にもちょこちょことした仕事はたくさんあります。
稲刈り
一年の集大成です。
全てコンバインという機械で刈り取ります。
機械が進入、回転する四隅は手で刈り取り、機械に通します。
うちのコンバインは、刈り取った籾が機械の中に蓄積されます。
一杯になると専用の受け皿に移し替え、軽トラックで乾燥機があるところまで運びます。
刈り取った籾はすぐに乾燥機に入れ、乾燥させます。
乾燥後は、籾すりという作業を行い、籾から籾殻を取り除き玄米にします。
最後に玄米を選別し、米袋に30kgずつ入れて保管します。
これで一応のところ、全て終了です。
保管
米は時間の経過とともに味が落ちていきます。
新米がおいしいのはそのためです。
また、味の劣化には保管している温度も深い関わりがあります。
温度が高いと劣化の速度が速くなるためです。
そこで我が家では気温が高くなる春先から冷蔵庫で15℃で保管しています。
こうすることで、温度による劣化を防いでいます。